『ネコ写真の教科書』(エイ出版社)

ネコ写真の教科書 (エイムック 2246)

ネコ写真の教科書 (エイムック 2246)

 猫写真のテクニックを論理的に解説した良書。
 「エイ出版社」の「エイ」は木偏に世と書くのですが、ブラウザでは表示に問題があるようなのでカタカナで書いてます。


 この本が良いなと思うのは、まず絞り・シャッタースピード・露出・構図・アングル……といったカメラの基本概念を紹介し、それらを変えることで写真がどう変わるのかを分かりやすく説明しているところです。
 例えば絞りは、開けばピントが合う範囲が狭くなるぶん柔らかくふんわりした写真になり、絞れば全体的にくっきりした写真になるとか。
 シャッタースピードであれば、ネコの一瞬の動きを捉えるにはシャッタースピードを上げるとか、動いている感じを出したいときは反対に下げるとか。


 そういった基本をまず紹介し、その後で「ネコのこんなシーンを撮るにはどうしたらいいか」を具体例とともに紹介しているところがいいなと思いました。
 写真を撮る上で大事なのは、設定にしろアングルにしろ何故それを選択するのか自分で考えて撮ることだと思いますが、この本を読めばそういったことが自然と頭に入ってきます。


 写真を学ぶという意味では、実はネコというのは格好の題材なのかもしれません。絞りや露出が毛並みなどにダイレクトに反映されてパッと見で違いが瞭然なので、どういう設定にしたらどういう写真になるのかというのが分かりやすいからです。個人的にはネコの毛並みのモフモフ感、触りたくなる感を出したいので、絞り気味かつハイライトは抑える方向で撮っていますけれども。


 そのほかには、外ネコを撮るための心構え(どうやって近づいたらいいか)みたいな、猫写真独特のノウハウも紹介されていて、そういう意味での実用性も高いのではないかと。


 惜しむらくは「自分にぴったりのカメラ選び」という、カメラを紹介するコーナーがイマイチなことです。
 ここでは多数のカメラ(デジタル・アナログ含め)が紹介されていますが、どれも特徴――それもメーカーウェブサイトのをそのまま引き写したような――をさらっとなぞってスペックリストを載せただけで、じゃあどのカメラが猫撮影に適しているのか? という一番大事なポイントに触れられていません。
 ローアングルで撮るにはバリアングル液晶搭載機種がいいですよ、とか重さはこれくらいがいいですよ、とかもう一歩踏み込んだ紹介が欲しかったところです。


 あと細かいところでは、レンズの選び方で写真はこう変わりますよという実例を紹介しているコーナー、その趣旨自体はいいと思うんですが、載っているレンズが「AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G」「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」という高級レンズばかりなのもどうかと思いますw
 プロ写真家の作例を元に紹介しているのでそういうラインナップになるんですが、どれも猫写真をカジュアルに撮りたい人が手に取るレンズじゃないよな……とか思うわけですわ。


 まあ、そういった細かいツッコミどころはあれど、全体的には好印象な本です。猫写真に限らず、写真のハウツー本としてもいいのではないかと。
 作例写真もかわいいので、写真集としても楽しめると思います。

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